たんていくんっていったい何なの?


ストーリーをまるまる削除!?
そういえば博士は先にも「たんていくんにはストーリーがないんじゃよ」というてはりましたワン。
いったいどういう意味なんですか?


わざわざ私の物まねまでしなくていいぞ。
それにポチ君、微妙に関西弁なのはなぜなんじゃ!?
ゴホン!まあいいとしよう。
意味も何も、文字通りじゃよ。作者はマップや住民や事件というような舞台・発端・世界観等を提供したら、後は全く話を展開させないんじゃ。
もう少し具体的にいうと、たんていくんではプレイヤーは自由に移動し、相手に話を聞く事が出来る。ここまでは普通じゃな。
ところが、相手にどんな話を聞いても「そこから先のストーリー」が開ける事がないんじゃよ。


うーん、よく分かりませんワン。


別ないい方をしようか。普通のゲームで、例えば有力な証拠物件を手に入れたとしよう。
従来のRPG・AVGなら、ここからストーリーが急展開するはずじゃ。それまで使えなかった新たなコマンドが出現したり、今まで行けなかった目的地が突然現れたりする。あるいは以前既に話を聞いた相手が、新たにそれまでとは違う話を始めたりする。
つまり、プレイヤーが証拠を発見した事により、「物語が前進する」わけじゃな。


何かあまりにも当たり前な事だと思うんですが…。
ひょっとしてたんていくんは、そういった常識的な考え方とは全然違うんですか?


そうじゃよ。
たんていくんは、恐らくみんながこれまで体験した事のないジャンルのゲームではないかな。
もっとも、これはゲームとしての話じゃ。今は詳しく触れないが、逆に実社会では誰もがたんていくんと同じ手法で物事を解決しておる。現実の世界では、普通のゲームのようなやり方で考えたり行動したりする事はまずないな。
蛇足になるが、これは従来のゲームのシステムが、ゲームを楽しむというごく限定された世界の中で徹底的に改良されてきた事をも意味するじゃろう。普通のシステムのゲームは、それだけ完成度が高いといえるじゃろうな。


それなのに博士は、推理専用のゲームシステムを新しく作ろうと思ったわけですか。
先行きえらい大変な気がしますワン。


これまで述べてきたように、私の考えでは「推理」には「自由」が必要じゃ。そして「自由」と「物語」は本来相性が良くない。
この考えに間違いがないなら、他に道はないのじゃ。
大変だろうが何だろうが仕方ない。この道を信じて進むしかないのじゃよ。


何かパイオニアの香りがしますワン。ちょっとカッコいいですね。
たんていくんはそういった決意の元に作られているのか…。
それならビジュアル面が物足りないのも、許してやろうかという気になりますワン。
それと、物語性が乏しいのも当たり前で、それは欠点ではないという事になりますよね。ただし、それらと引き換えに得られる物が本当にあればの話ですけど。


ポチ君はなかなか手厳しいのう。
もちろん、たんていくんには他のゲームでは得られない長所があるぞ。
これまで何度かいったように、それは「自由に捜査・推理が出来る」という事じゃ。しかも「作者やシナリオはプレイヤーを支援しない代わりに邪魔もしない」のじゃ。
つまり、物語に全く関係なく自発的に事件を解決する事が出来るんじゃよ。


実際に捜査官になって、現実の事件に正対しているような感じになるんですか?もし本当にそうならワクワクしますね。事件が解決するかどうかは純粋に自分の腕前にかかっているという事でしょう?


うん。たんていくんもゲームである事には変わりない。
そのために現実と違った「ルール」は確かに存在する。しかし、そのルールの中での自由度の高さは従来のAVGよりずっと高いと思うぞ。
プレイヤーが日常的に推理力を磨いている人なら、たんていくんはその能力を真正面から受け止めてくれるはずじゃよ。手法は問題ではないんじゃ。一人一人違う「自分のやり方」に、たんていくんは必ず答えてくれるはずじゃ。
このコーナーの冒頭で、ポチ君が「どうしていいか分からない」といってたが、それはたんていくんには「こうしなさい」という束縛がとても少ないからじゃろう。


博士の話の中で一つ気付いたんですが、博士は「捜査」と「推理」をひと括りに述べていますね。
これにはどんな意味があるんですか?


いい所に気付いたな。
小説や従来の推理ゲームでは、例外もあるが原則的には読者・プレイヤーが本当に自分の意志で行えるのは推理部分だけじゃ。
捜査部分は、言葉は悪いかもしれんが「強制的・画一的に与えられる」物じゃ。全ての読者・プレイヤーに同じように与えられる。だからこの部分では個人差が生じないのじゃよ。反対に、ここで差をつけようと作者が思ったら、何らかのトラップ等を仕掛けるしかない。
しかし、たんていくんの場合は違う。


そうか!どんな捜査をするべきかという事自体、そもそも推理によって行われる物やという事ですね。
捜査の仕方によって結果が得られるかどうか、解決出来るかどうかが決まってこないと本当ならおかしいですね。


そうなんじゃよ。たんていくんでは、捜査と推理は不可分じゃ。
その意味でも、これまでにない新しい面白さが味わえると思うぞ。
受け身になって「寝転んだまま楽しませてもらおう」と思ったら、たんていくんは何もしてくれないんじゃよ。楽しむためには、積極的に対する事じゃな。


博士の説明で、たんていくんの大まかな魅力が分かってきたワン。
ちょっとだけ博士のファンになりました。なかなかやるじゃん。


たんていくんの特徴をこれまで一通り駆け足で述べてきたが、今後は各コーナーで細かく話題を掘り下げていくぞ。
楽しみに待っててくれ。


了解ですワン。




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